小さい方のツァラトゥストラ、かく語りき vol 1
あまりにも長い間ほったらかしにして、どうすればいいか分からなくなってしまいました。それでしばらくは連載でもしてみようかなと。

ちょっとづつ書いて行くので先きの事はわかりません。
でも面白くしたいです。
「続きを読む」で小説を読んでください。
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小さい方のツァラトゥストラ、かく語りき vol 1
もののふの息子に生まれたと言うのにその青年は余程に変っていた。
背丈は五つの頃に四尺まで伸びたきりで、まもなく十八になろうというのに四尺二寸の子供の身成。声は高くせっついて喋る所為かキーキーと煩さくて豚の鳴き声だと罵られる。
しかしその青年、正真正銘生まれついての予言者であった。
森羅万象この先に起こる全ての事柄が如何な所に向かうのかが、どういう具合にかは定かならぬが見事見通せてしまうのである。
古今予言を行う者なれば、やんごとならぬ身分の方の御側や國の政(まつりごと)の席において重用されるものと相場はなっているものの、この若者をそうした将来につなげるような評判は無い。
おそらく世渡りの才覚が欠片も無い事がその元凶だろう。
この先に起こるあれこれを所構わず、時を選ばず只だらだらと喋るばかりであったので、ほとほと迷惑がられても、驚かれたり感謝を受けるという事が無かったのである。
例えば隣家の奥さんのお産の時、キーキーと喚いた言葉がこう。
「安産ですよご安心。十日の後の夜明け前に元気な女の子が産まれるでありましょう。五体満足。お乳もよく出ましょうし、またよく飲む。しかしまあ元気が何よりとは申しますものの、ご面相が可哀想でございます。先般お隠れになったご隠居に瓜二つ。かわいい盛りはまだしも、娘時分になりますと、大猿にも似たそのご面相で婿の手配にそれはまあご苦労がございましょう。しかしまあ……」
隣家の主人はまだ生まれてもいない娘の将来をぐだぐだと喋り続ける小さな男を上からたっぷり睨み付けてから、自分の家に入って荒々しく戸を閉めると窓から塩を撒き出す始末。
「しかしまあ、その器量には似合わぬほどの良縁に恵まれて娘さんは仕合せになれるよと。そこまで聞いてからでも遅くはないのに」
男はまだキーキー声で呟きながらもただにやにやと笑うばかり。
かくして予言通り十日の後の夜明け前に生まれたのは元気な女の赤ん坊。しかし隣家の者は誰一人としてその予言の的中を驚きも喜びもしない。
隣の小僧が言う事が何でもかんでも当たるのはいつもいつもの当たり前。ただその的中に気分を悪くして、不細工に育つと言う予言の外れる事を祈るばかりなのである。
一事が万事そんな具合であったから、自分の行く末を言い当てられては大変と、何年か前からは道ですれ違っても目を合わせようとする人は少なくなる一方だった。
そんなある日、遠い戦場(いくさば)がら戻った父親がぶらぶらと独り遊んで暮らしていた息子を呼んだ。
「我が息子ムラトノよ、お前の予言のおかげで儂は今度(こたび)の戦も幾許かの戦功をあげ無事に戻る事が出来た。村の者達がお前の事を何と言おうと、人にはないその能力はやがて世の中を良い方へと動かす大きな力となるはずだ。しかしお前を儂の手もとに置いて、この村で暮らしていたのでは出会うべき者にも合わず、成すべき仕事も見つけられまい。だから旅に出よ。馬は用意した。小さすぎて農耕の役には立たぬと処分されかけていたロバだがお前の体には合うだろう。見かけは小さいがこれでなかなか頭のいい良い馬だ。そして荒野に赴くからには軽装とは言え甲冑も手に入れて来た。将軍の若君が幼少の頃に誂えられたおもちゃのような武具だが、母に寸法を合わせてもらえ。そして剣はこの儂の短刀を持って行くがいい」
ムラトノは父親の短刀を受け取り頭を下げた。
「武芸を満足に教えなかったのは心残りだが、お前の賢さと未来を見渡す能力があれば、如何なる武道の達人とまみえたとて、心配には及ぶまい」
行きたいとも行きたくないとも思わずムラトモは旅に出る決意をした。
そうなる事は分かっていた。
やがて巡り会う人々の事、自分が巻き込まれるだろう災厄や困難。何もかもが分かり切っていた。
ならばそんなつまらい旅になど出る必要も無さそうなものだが、母親に合わせてもらった甲冑を身に付けたムラトモは嬉しそうだった。
両親の深い愛情を感じていたからだ。
父親の運命も母親の運命も既に良く分かっていた。
今旅に出れば二度と再び生きては会えない事も知っていた。
それでもムラトモは喜々として旅の支度をして、次の日の朝、小さいながらも凛々しいもののふの姿で家の門口に立った。
そして父親が引き出してくれたロバの背にまたがった。
………………………

ちょっとづつ書いて行くので先きの事はわかりません。
でも面白くしたいです。
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小さい方のツァラトゥストラ、かく語りき vol 1
もののふの息子に生まれたと言うのにその青年は余程に変っていた。
背丈は五つの頃に四尺まで伸びたきりで、まもなく十八になろうというのに四尺二寸の子供の身成。声は高くせっついて喋る所為かキーキーと煩さくて豚の鳴き声だと罵られる。
しかしその青年、正真正銘生まれついての予言者であった。
森羅万象この先に起こる全ての事柄が如何な所に向かうのかが、どういう具合にかは定かならぬが見事見通せてしまうのである。
古今予言を行う者なれば、やんごとならぬ身分の方の御側や國の政(まつりごと)の席において重用されるものと相場はなっているものの、この若者をそうした将来につなげるような評判は無い。
おそらく世渡りの才覚が欠片も無い事がその元凶だろう。
この先に起こるあれこれを所構わず、時を選ばず只だらだらと喋るばかりであったので、ほとほと迷惑がられても、驚かれたり感謝を受けるという事が無かったのである。
例えば隣家の奥さんのお産の時、キーキーと喚いた言葉がこう。
「安産ですよご安心。十日の後の夜明け前に元気な女の子が産まれるでありましょう。五体満足。お乳もよく出ましょうし、またよく飲む。しかしまあ元気が何よりとは申しますものの、ご面相が可哀想でございます。先般お隠れになったご隠居に瓜二つ。かわいい盛りはまだしも、娘時分になりますと、大猿にも似たそのご面相で婿の手配にそれはまあご苦労がございましょう。しかしまあ……」
隣家の主人はまだ生まれてもいない娘の将来をぐだぐだと喋り続ける小さな男を上からたっぷり睨み付けてから、自分の家に入って荒々しく戸を閉めると窓から塩を撒き出す始末。
「しかしまあ、その器量には似合わぬほどの良縁に恵まれて娘さんは仕合せになれるよと。そこまで聞いてからでも遅くはないのに」
男はまだキーキー声で呟きながらもただにやにやと笑うばかり。
かくして予言通り十日の後の夜明け前に生まれたのは元気な女の赤ん坊。しかし隣家の者は誰一人としてその予言の的中を驚きも喜びもしない。
隣の小僧が言う事が何でもかんでも当たるのはいつもいつもの当たり前。ただその的中に気分を悪くして、不細工に育つと言う予言の外れる事を祈るばかりなのである。
一事が万事そんな具合であったから、自分の行く末を言い当てられては大変と、何年か前からは道ですれ違っても目を合わせようとする人は少なくなる一方だった。
そんなある日、遠い戦場(いくさば)がら戻った父親がぶらぶらと独り遊んで暮らしていた息子を呼んだ。
「我が息子ムラトノよ、お前の予言のおかげで儂は今度(こたび)の戦も幾許かの戦功をあげ無事に戻る事が出来た。村の者達がお前の事を何と言おうと、人にはないその能力はやがて世の中を良い方へと動かす大きな力となるはずだ。しかしお前を儂の手もとに置いて、この村で暮らしていたのでは出会うべき者にも合わず、成すべき仕事も見つけられまい。だから旅に出よ。馬は用意した。小さすぎて農耕の役には立たぬと処分されかけていたロバだがお前の体には合うだろう。見かけは小さいがこれでなかなか頭のいい良い馬だ。そして荒野に赴くからには軽装とは言え甲冑も手に入れて来た。将軍の若君が幼少の頃に誂えられたおもちゃのような武具だが、母に寸法を合わせてもらえ。そして剣はこの儂の短刀を持って行くがいい」
ムラトノは父親の短刀を受け取り頭を下げた。
「武芸を満足に教えなかったのは心残りだが、お前の賢さと未来を見渡す能力があれば、如何なる武道の達人とまみえたとて、心配には及ぶまい」
行きたいとも行きたくないとも思わずムラトモは旅に出る決意をした。
そうなる事は分かっていた。
やがて巡り会う人々の事、自分が巻き込まれるだろう災厄や困難。何もかもが分かり切っていた。
ならばそんなつまらい旅になど出る必要も無さそうなものだが、母親に合わせてもらった甲冑を身に付けたムラトモは嬉しそうだった。
両親の深い愛情を感じていたからだ。
父親の運命も母親の運命も既に良く分かっていた。
今旅に出れば二度と再び生きては会えない事も知っていた。
それでもムラトモは喜々として旅の支度をして、次の日の朝、小さいながらも凛々しいもののふの姿で家の門口に立った。
そして父親が引き出してくれたロバの背にまたがった。
………………………
コメント
こんばんは。
体調でも崩されてるのかと心配していました。
素敵な連載が始まりましたね。
今後の展開が楽しみです。
トップページの写真はどこの遊園地ですか。
絶叫マシンなんか絶対設置されていないだろうなって
思わせるのんびりした感じがいいですね。
体調でも崩されてるのかと心配していました。
素敵な連載が始まりましたね。
今後の展開が楽しみです。
トップページの写真はどこの遊園地ですか。
絶叫マシンなんか絶対設置されていないだろうなって
思わせるのんびりした感じがいいですね。
♪待ってました♪
お久しぶりです。
ツァラトゥストラ(なんと書きにくい)という名前は 音楽のタイトルでしか知りませんでしたが 「小さい方のツァラトゥストラ」って何モノなんだろう ??? と。
楽しみに読ませていただきます。
ツァラトゥストラ(なんと書きにくい)という名前は 音楽のタイトルでしか知りませんでしたが 「小さい方のツァラトゥストラ」って何モノなんだろう ??? と。
楽しみに読ませていただきます。
うわーすみませんすみません!
何だか色んな事がまともに出来ない状態で、自分のブログにさえ軽く恐怖症が出て逃げ腰になっていました。
つるさん
こんな僕の原稿を楽しみにして頂いているただなんて、嬉しい事を言って頂きながら長く返事もしなくてすみません。
大切なお首をえらい状態にしてしまい本当に申し訳ございません。
飛び飛び連載になりそうですが、どうしても書きたい結末があるので、必ず最後まで書きます。
福さん色々どうもです。
体の調子等は悪くないのですが、いつもの「面倒くさくなり病」でしっかりまとまった何かが何にも出来なくなっていました。春から夏にかけてテンション上げ過ぎた酬いです。
遊園地は生駒山頂遊園地です。
もう無くなってしまったものだとばかり思っていましたが、かの有名な本物が出るとの噂のお化け屋敷も含めて健在でした。
桑原さん
こんなタイトルで書いてみたかっただけで決定したタイトルです。
多分ゾロアスター教の開祖とも大哲学者のニーチェとも何の関係もない内容になるとは思いますが、軽く笑える今風の哲学のお話にしたいなとか、大それた事をちょっと考えたりしています。
管理者への私信をくださった方へ。
励ましのお言葉ありがとうございました。
あの文章でただひとつ書きたかったメッセージのようなものをしっかりと受け止めて頂いてたいへん嬉しかったです。
更新なかなか充実しませんが、どうか長い目で応援してくださいませ。
何だか色んな事がまともに出来ない状態で、自分のブログにさえ軽く恐怖症が出て逃げ腰になっていました。
つるさん
こんな僕の原稿を楽しみにして頂いているただなんて、嬉しい事を言って頂きながら長く返事もしなくてすみません。
大切なお首をえらい状態にしてしまい本当に申し訳ございません。
飛び飛び連載になりそうですが、どうしても書きたい結末があるので、必ず最後まで書きます。
福さん色々どうもです。
体の調子等は悪くないのですが、いつもの「面倒くさくなり病」でしっかりまとまった何かが何にも出来なくなっていました。春から夏にかけてテンション上げ過ぎた酬いです。
遊園地は生駒山頂遊園地です。
もう無くなってしまったものだとばかり思っていましたが、かの有名な本物が出るとの噂のお化け屋敷も含めて健在でした。
桑原さん
こんなタイトルで書いてみたかっただけで決定したタイトルです。
多分ゾロアスター教の開祖とも大哲学者のニーチェとも何の関係もない内容になるとは思いますが、軽く笑える今風の哲学のお話にしたいなとか、大それた事をちょっと考えたりしています。
管理者への私信をくださった方へ。
励ましのお言葉ありがとうございました。
あの文章でただひとつ書きたかったメッセージのようなものをしっかりと受け止めて頂いてたいへん嬉しかったです。
更新なかなか充実しませんが、どうか長い目で応援してくださいませ。
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待ちくたびれてわらわの首の長きことまるでろくろ首の如くありき。
すでにもう物語にどっぷりです。
連載楽しみだわぁ。