「ゆめみるケモノ」

ちょっと不思議なお話や、お菓子にまつわるショートストーリーを掲載します。

2008-08

シブースト [スウィーツ・ディオラマ]

シブーストは(仏:Chiboust)はフランスの洋菓子。

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1840年頃、パリの菓子職人シブースト氏が考案したアントルメ。クレーム・パティシエールに湯煎で溶かしたゼラチンを加え混ぜ、さらに温かい状態のイタリア・メレンゲと軽く合わせて、形に流し込んで形を整えたものに、砂糖を振りかけ、さらに焼きゴテで表面をキャラメル状に仕上げたものがこの菓子の主体。

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今回の解説はネット上の様々な記事から作者がまとめました。
間違い等ございましたら、どうかご指摘ください。

「続きを読む」でストーリーをお楽しみください。
「スウィーツ・ディオラマ」の表紙と目次


シブースト


 つるりと焼き固められたカラメルの平野は永く続いた戦乱の果て。
 悲しみも苦しみも絶望も慟哭も消え去り、勝利の喝采は忘れられ、敗北の悵恨も絶え果てた。
 今や風は寸時もそこには留まらない。

 しかし何なのだろうか、この大地を茜にも似た生命の色に焼き上げたその想い。

「逃げておくれ」と言ったのか、「共に留まりましょう」と言ったのか。
「諦めたと」言ったのか、「決して諦めるな」と言ったのか。
 四散してなお、潰えてなお、そこには人と人の断ち切れぬ情念があったのだ。
 耳を寄せても音など無く、菓子から立ち上るほのかな冷気だけが、何かを聞かせた素振りで口を噤(つぐ)む。

 もはや堪らず匙先を差し入れれば、幾十年、幾百年の瞑目はたちまちに開かれて、真実が香り立った。
 そうか、焼け爛れた大地の下は甘く柔らかな人の肌だ。

 潜んでいた。

 鉄火に倒れ、焼き尽くされたと見せかけながら、生きるものの情愛は大地の下にしっかりと隠れ潜んで、やがて凝(こご)ってもなお、ふくよかに……

 ならばやがて芽吹く種子はあるのか。
 どうだ、種子はあるかと、守られ続けたその源をたちまちのうちに食べ尽くして。

 夢の覚めぬその先に、慌てエスプレッソへと手を伸ばす。

……………(夢想グルマン 01)

コメント

遊びにきました。
スウィーツ・ディオラマ好きですよ。
カヌレのようにスウィーツをからめた話も好きだけどシブーストのようにスウィーツを目の前にした観念的な表現にはやられました。
ほんとまさにそういう感じです。
足元に及ぶべくもないけど刺激を受けます。
また来ますね。

観念的な世界は読んで下さる方に申し訳ないなあと思いつつも、どうしても書くことの快感に負けて仕上げたくなってしまいます。

それをお褒め頂けて本当に嬉しいです。

つるさんのHPはこの前までの僕のマックの古いブラウザでは読むことが出来なかったのですが、先日ようやく読めるようになって、その面白さにのけ反ってしまいました。

足元にも及ばないのは正しく僕の方です。
この前の間抜けなお返しはどうかお忘れ頂いて、これからもお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。

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北崎白彦

Author:北崎白彦
長く続けて行くというのは決めているんですが、どれくらいの方に読んでいただけているのかと思うと、とにかく寂しいです。
コメントご感想頂けるとたいへん嬉しいです。

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